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執筆者の写真田中亜弥

アミノ酸とは

更新日:2020年5月15日

1.アミノ酸とは

(1)アミノ酸

 アミノ酸とは「たんぱく質」を構成している成分であり、アミノ基とカルボキシ基から構成されている有機化合物です。

 肉や魚、大豆製品、乳製品などのたんぱく質をとると、体内で消化・吸収され、アミノ酸を供給することができます。このアミノ酸が体内のたんぱく質を作る材料となっています。ちなみに、たんぱく質は水の次に多い生体成分で、人の体の約20%を占めています。

(2)必須アミノ酸と非必須アミノ酸

 アミノ酸の中には、体内で合成できないか、あるいは合成速度が遅いため食物から摂取しなければならないものがあります。これを「必須アミノ酸」といいます。

必須アミノ酸:バリンロイシン、イソロイシン 、リジンメチオニンフェニルアラニンスレオニントリプトファン、ヒスチジンの9種類

 これに対し、体内で合成できるアミノ酸を「非必須アミノ酸」といいます。

非必須アミノ酸アスパラギンアスパラギン酸アラニンアルギニンシステイングルタミングルタミン酸グリシンプロリンセリンチロシンの11種類

 必須アミノ酸と非必須アミノ酸は、体内で合成できるかどうかの違いであり、体のたんぱく質を合成する上で必須アミノ酸のみが重要ということではなく、いずれも必要です。

(3)遊離アミノ酸

 体内のアミノ酸はほとんどがたんぱく質として存在していますが、中にはたんぱく質を構成せず、細胞や血液中などに蓄えられているアミノ酸もあります。これらを遊離アミノ酸といいます。生体内の代謝に関わるビタミンやホルモンをつくる材料として使われています。例を挙げると、テアニン、オルニチン、シトルリン、タウリンなどがあります。


2.必須アミノ酸のそれぞれの働きと多く含む食材

 それぞれのたんぱく質は、構成するアミノ酸の種類、数、さらにアミノ酸の配列順序も決まっています。必要なアミノ酸のうち1種類でも欠けていると、他のアミノ酸では代用することができず、たんぱく質の合成ができません。そこで、特に体内で合成することができない必須アミノ酸については、摂取不足に注意する必要があります。必須アミノ酸の欠乏は、細胞の再生や修復に影響し、免疫力低下の原因になります。

<各必須アミノ酸の働きと食材>

①バリン:たんぱく質の合成、肝機能向上、血液中の窒素バランスの調整、疲労回復

(例)鶏肉、子牛肉、レバー、魚、ドライミルク、チーズ、ゴマ、落花生

②ロイシン:たんぱく質の合成、肝機能向上、筋肉強化、疲労回復

(例)牛肉、レバー、ハム、とうもろこし、牛乳、チーズ、あじ、ほうれん草

③イソロイシン:成長促進、血管拡張、肝機能強化、筋肉強化、神経働きのサポート、疲労回復

(例)鶏肉、子牛肉、牛乳、チーズ

リジン:肝臓機能強化、免疫力向上、カルシウムの吸収促進、脳卒中の発症を抑制、ホルモン・酵素の生成

(例)サワラ、サバ、オートミール、大豆、高野豆腐、納豆

メチオニン:アレルギーによるかゆみの軽減、肝機能のサポート、抑うつ効果

(例)牛肉、羊肉、レバー、牛乳、、ホウレンソウ、にんにく、トウモロコシ

フェニルアラニン:精神安定、食欲抑制、鎮痛効果

(例)肉類、魚介類、大豆、あずき、高野豆腐、納豆

⑦スレオニン:成長促進、新陳代謝の促進、肝機能をサポート

(例)卵、スキムミルク、ゼラチン

トリプトファン:セロトニン生産のサポート、安眠効果、精神安定、食欲増進、疲労回復

(例)レバー、牛乳、 チーズ、バナナ、パイナップル、緑黄色野菜、大豆、高野豆腐、きな粉

ヒスチジン:神経機能のサポート、成長促進、慢性関節炎の緩和、ストレスの軽減

(例)鶏肉、子牛肉、ハム、イワシ、カツオ、マグロ、チーズ、ドライミルク


3.アミノ酸スコア

 アミノ酸スコアとは、食べ物に含まれるたんぱく質の量と必須アミノ酸がバランス良く含まれているかを数字で表した指標となるもので、必須アミノ酸の数値が100に達しているものが質の良いタンパク質であると言えます。アミノ酸スコアの高い食品は大豆、鶏肉、サバ、鶏卵、豚肉、鮭、牛乳、牛肉で、いずれもスコアは100です。アミノ酸スコアは食品単体の評価であるため、アミノ酸スコアが低い食品であっても、他の食品と一緒にとることでアミノ酸スコアを改善することができます。多様な食品を組み合わせて、「質」の高いたんぱく質をとることが大切です!


<引用>『たんぱく質ーアミノ酸』(国立スポーツ科学センター)


次回は、「代謝と筋肉」についてです。お楽しみに!


<参考文献>

・『改訂新版いちばん詳しくて、わかりやすい!栄養の教科書』中島洋子監修(新星出版社

・『たんぱく質ーアミノ酸』(国立スポーツ科学センター)

※なお、このブログは、タイトルに関する基本情報を出来るだけ端的に分かりやすく伝えるために、文献から多く引用している箇所もありますが、著作権を侵害する意図はありません。私自身の知識をまとめる作業の一環でもあり、至らない所もあると思いますので、より詳しく知りたい方は上記の文献をぜひご覧ください。


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