1.ビタミンの役割
ビタミンは、「五大栄養素」の一つですが、他の栄養素とは違い、エネルギーや体組織を作る成分にはほとんどなりません。しかし、様々な生理機能の維持に働いたり、エネルギーや体組織を作るための代謝にかかわっており、機械の潤滑油のような働きをしています。
また、ビタミンは、「微量栄養素」ともいわれ、体内では合成されないか、されても必要十分な量には足りないため、食事から摂る必要があります。そのため、体内で必要な量はどのビタミンもmgやμ(マイクロ)gレベルのごくわずかな量ですが、必要量が満たされないと、特有の欠乏症を起こします。
2.ビタミンの種類
ビタミンには、油脂に溶ける脂溶性ビタミンと、水に溶ける水溶性ビタミンがあり、それぞれの性質から体への取り込まれ方や代謝に特徴があります。
(1)脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンは水に溶けずに、油に溶けやすく、熱に強い性質を持ちます。ビタミンA、D、E、Kの4種があります。
・ビタミンA:目に作用し、視覚を維持する。(うなぎ、レバー、乳製品)
・ビタミンD:骨の形成に必要、不足すると骨が弱くなる。(マグロ、かつお、干ししいたけ)
・ビタミンE:抗酸化作用があり老化を予防する。(アーモンド、かぼちゃ)
・ビタミンK:血液凝固作用に必要、骨の形成にも関与する。(納豆、ブロッコリー、ほうれん草)
(2)水溶性ビタミン
水溶性ビタミンは、水に溶けやすく熱に弱いビタミンで、B群(B1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、B12、ビオチン)と、ビタミンCの9種があります。
・ビタミンB1:糖質の代謝、神経機能維持に必要(豚肉、玄米、大豆)。
・ビタミンB2:糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要(レバー、魚介類、きのこ類)。
・ビタミンB6:アミノ酸の代謝に必要(にんにく、ピスタチオ、海苔)。
・ナイアシン:エネルギー代謝において重要(レバー、肉類、きのこ類)。
・パントテン酸:糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要(レバー、豆類、牛乳)。
・葉酸:血液形成に必要。妊婦・授乳婦への摂取推奨(レバー、枝豆、緑色野菜)。
・ビタミンB12:血液の形成、神経細胞の機能維持に必要(さんま、あさり、卵)。
・ビオチン:糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要(レバー、肉類、卵黄)。
・ビタミンC:鉄分の吸収、コラーゲンの生成に必要(トマト、みかん、緑茶)。
3.ビタミンの不足と過剰
(1)欠乏の場合
どのような症状があらわれるかは、ビタミンの種類によって異なります。
主なものとしては、ビタミンB1不足による脚気、ビタミンC不足による壊血病、ビタミンA不足による夜盲症、ビタミンD不足によるくる病や骨軟化症などがあります。このような明らかな病気までいかなくても、ビタミンの不足によって日常的に身体の不調を来している状態を、「潜在性ビタミン欠乏症」と呼びます。
日本をはじめ先進国では、かつてのようなビタミン欠乏症は少なくなっています。その一方で、無理なダイエットや不規則な食生活、高齢になるにつれて食生活が変化することなどから、潜在性ビタミン欠乏症になるケースが増えていると考えられています。
(2)過剰摂取の場合
微量栄養素に関する関心が高まっており、サプリメントの広まりからビタミンの過剰摂取が問題となりつつあります。
特に、脂溶性ビタミンは摂りすぎると肝臓に蓄積し、過剰症に陥ることがあります。そのため、食事摂取基準で、耐容上限量が定められているものがあります。一方、水溶性ビタミンはたくさんとっても体内に留まらず、排泄されます。そのため、毎日必要量を摂取することが重要です。
以上のことを踏まえ、ビタミン摂取において、最も重要なことは、どのビタミンもバランスよく摂取することです。なかなか食事から全てのビタミンをバランスよく摂取することは難しいため、マルチビタミンなどのサプリメントからしっかり摂取することをお勧めします。
次回は、ビタミン同様、微量栄養素の「ミネラル」についてです。お楽しみに!
〔参考文献〕
・『改訂新版いちばん詳しくて、わかりやすい!栄養の教科書』中島洋子監修(新星出版社)
・『体に必要なビタミン〜オアシスブログ〜』株式会社タカサ
※なお、このブログは、タイトルに関する基本情報を出来るだけ端的に分かりやすく伝えるために、文献から多く引用している箇所もありますが、著作権を侵害する意図はありません。私自身の知識をまとめる作業の一環でもあり、至らない所もあると思いますので、より詳しく知りたい方は上記の文献をぜひご覧ください。
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