私は、20歳のころに食べないダイエットが原因で、摂食障害になりました。しかし、当時は知識もなく、自分が病気であることに気づけていませんでした。日に日に人にとって当たり前な「食べる」ということがうまくできなくなっていきました。
そこで今回は、摂食障害についてお話していきたいと思います。少しでも今食事がうまく取れなくて困っている方々の参考になればと思います。
1.摂食障害とは
摂食障害は、食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気です。10代から20代の若者がかかることが多く、性別でいうと女性の割合が高いですが、年令、性別、社会的、文化的背景を問わず誰でもかかります(※1)。
摂食障害には大きく分けると、「拒食症」と「過食症」がありますが、特定されない摂食障害もあります。
(1)拒食症とは
拒食症は、医学的には「神経性やせ症」、「神経性無食欲症」などと呼ばれています。体型のコンプレックスによるダイエットが原因で発症する方もいれば、仕事や家庭内のストレスなどから気づいたら食べられなくなってしまう方もいます。
拒食症の中でも過食症状がある人は「むちゃ食い/排出型」、過食症状がない人は「制限型」に分類されます(※2)。
ダイエットがきっかけの拒食症の場合、まず食事の量や回数が著しく減り、太りやすい食事は避けるようになります。比較的、完璧主義でストイックかつ自己肯定感が低い人がなりやすいと言われているので、痩せることに喜びを覚えたり、痩せている自分に価値を見出そうとします。そこから人との食事を避けるようになり、太るのが怖くてどんどん食べられなくなっていきます。しかし、体は生きるために栄養を必要とするので、生命維持のために食欲が増し、反動で過食してしまうという方も少なくありません。過食したことに罪悪感を覚え、代償行為として吐いたり、下剤や利尿剤などに手を出してしまうこともあります。
上記のような症状に合わせて、“標準体重の85%以下の状態が続いている”かつ“無月経”だと拒食症と診断されます。また、拒食症になる人は10代に発症する人が多いです(※3)。
(2)過食症とは
過食症は、ダイエットやストレスなどをきっかけに、食事のコントロールができず、大量に食べ過ぎてしまう病気です。誰でもつい食べ過ぎてしまうことや、だらだら食べてしまうことはあると思います。しかし、過食症の場合、食べているときの記憶がない方が多く、突然過食のスイッチが入り、自分の意志に反して、詰め込むように食べてしまいます。
過食症は、食べてしまった罪悪感から代償行為で嘔吐や、下剤・利尿剤・浣腸の乱用する「排出型」タイプと、それらがない「非排出型」タイプに分類されます。過食症は、「食べたい病気」ではなく、「やせたい病気」と言われています。なので、「非排出型」でも絶食したり、過剰な運動をする人もいます。(※2)上記のようなコントロールできない過食衝動が平均週2回以上、3カ月以上続いていると、過食症と診断されると言われています。過食症は、拒食症と違い、20代で発症する女性が多いです。また、拒食症から過食症に移行する方が一番多いと言われており、私もそうでした。
(3)特定不能の摂食障害
明確に拒食症や過食症に分類されなくても、摂食障害と診断される方も多くいます。例えば、体型や体重への執着がそれほどなくとも過食をコントロールできない症状を「むちゃ食い障害」と呼びます(※2)。症状は千差万別なので、一般的な診断基準に入っていないからといって、自分は摂食障害ではないと判断してしまうのは危険です。
私も元々筋肉質で骨格がしっかりしていて、体重は見た目よりも重いほうでした。拒食症状がかなり強く、生理が止まっている時も標準体重の85%を切っていませんでした。体重に囚われていたので、世間はもっと痩せている人がいるのに、こんな体重のある自分は拒食症なわけがないと思っていました。
摂食障害になる方は、「食事をコントロールできないなんて自分の意志が弱いからだ」と責めてしまう方も多いのですが、食事のことが1日中頭から離れなかったり、うまく食事がとれないという方は、「摂食障害」という病気である可能性が高いので、そのことにまず気づくことが改善の一歩だと思います。自覚症状がある方は、専門のお医者さんに診断してもらうことをお勧めします。
次回は、摂食障害との向き合い方についてお話していきたいと思います。
<参考文献>
・『摂食障害とは』(厚生労働省)※1
・『焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識』水島広子(日東書院)※2
・『摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症』(e-ヘルスネット)※3
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