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執筆者の写真田中亜弥

神経系とは①〜運動神経編〜

 皆さんは、大人になってから急いでいるときにダッシュして、以前より脚が上がらなくなっていたという経験はありませんか?これは、運動不足による筋力の低下だけではなく、神経系の衰えも大きく影響しています。

 また、筋トレを始めると、神経系の発達というキーワードを聞くことが多いと思います。神経系とは、何なのか?そこで、今回は筋力アップに欠かせない神経系についてお話ししていきます。


1.神経系の役割

 神経は、網の目のように全身に張り巡らされています。神経系は、体内外の環境変化やストレスによりもたらされる情報をすばやく処理し、その情報に応じて生体各部を調節する器官です。(※1)神経系は、中枢神経(ちゅうすうしんけい)末梢神経(まっしょうしんけい)系という2つの部分で構成されています。

(1)中枢神経系

 脳と脊髄からなっていて、全身に指令を送る神経系統の中心的な働きをしています。脳は頭蓋骨によって、脊髄は脊柱によって守られています。(※2)

(2)末梢神経系

 中枢神経と、全身の器官・組織に分布する神経と結び、情報の伝達を行っています。末梢神経には、体性神経と自律神経の2つがあります。(※2)


 つまり、神経系は、

皮膚や身体のさまざまな部位から

情報を脳に送る(末梢神経系)

られてきた情報を分析、整理、判断し、その情報に応じて適切な決定を下す

(中枢神経系)

その決定を末梢に伝える(末梢神経系)

という流れで働いています。(※1)



2.筋トレと神経系

筋トレに重要な神経系は、運動神経です。運動神経は、体性神経の一つで、動物神経とも言われています。(※1)ちなみに、体性神経には、感覚神経運動神経があります。

(1)感覚神経(知覚神経):目、耳、鼻、舌、皮膚などから受けた刺激に興奮して、脳の中枢にそれらの情報を伝える神経です。

(2)運動神経:手足を動かすなどの運動にかかわる神経で、中枢神経系から実際に動作を司る筋肉に繋がっています。体を動かした際に、最初に反応するのが運動神経です。

 例えば、スクワットをする際に、まず運動神経が反応して、脳から適当な数と種類の筋繊維に命令を出します。初心者の方は、動員される筋繊維の数と種類が少ないので、できる回数や重さが減ります。トレーニングを繰り返し行うことで、神経系の抑制が軽減され、それに伴い、発揮される筋力が上がっていきます

 そのため、初心者の方が神経系を発達させたい場合は、高回数でインターバル(セット間休憩)を短めで行うのがオススメです!高回数で繰り返し行うことで、神経系の反応が良くなり、スムーズに動作を行えるようになっていきます。

 逆に、若い頃やっていたスポーツを何年振りかにやった時に、以前より体が動かないと感じるのは、神経系が衰えて、反応が悪くなっているためです。

 また、高負荷のトレーニングを繰り返し行っていると、筋肉だけでなく、神経系も疲労していきます。神経系の疲労は短期間には抜けず、1週間以上かかることもあります。神経系の疲労が溜まると、神経伝達が遅れ、怪我に繋がる可能性も高くなります。そのため、がむしゃらに重量を扱ったり、高頻度での筋トレは逆効果になりかねません。

 このように、運動不足になると、神経系の反応が一時的に低下してしまいますが、正しく鍛えてあげることによって、神経系の反応が良くなり、動きやすさを体感できます。そのため、自分のレベルに合わせて、適度な負荷と頻度でトレーニングすることが、筋力アップへの近道だと思います!

 次回は、末梢神経の一つである自律神経についてお話ししたいと思います。

 

【参考文献】

神経について(中外製薬株式会社)※2

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