1.必須脂肪酸とは
必須脂肪酸とは、人が体内で合成できない脂肪酸のことで、リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸の3つがあります(どれも多価不飽和脂肪酸)。体内で合成できない脂肪酸は、食事から摂取しなければなりません。アラキドン酸は合成できますが、合成量が少ないので、リノール酸やα-リノレン酸とともに食事から摂取する必要があります。
リノール酸、α-リノレン酸は、動物の体内では合成できませんが、植物では合成されます。そこで、植物油に含まれるこれらの必須脂肪酸を摂取すると、体内の酵素の働きで、オメガ6脂肪酸のリノール酸からはオメガ6のアラキドン酸が、オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸からはオメガ3のEPA(IPA)やDHAが作られます。
<引用>脂肪酸を知れば油がわかる#世界のオイルを巡るレシピと油活のススメ
2.必須脂肪酸の摂取目安量
オメガ3脂肪酸の目安量は、1日当たりの摂取量で示されています。(下記の図を参照)
<引用>マルタのえごま
オメガ6脂肪酸の1日あたり摂取目安量は、男性8〜11g/女性7〜8gで、本来、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の理想比率は1:2ですが、欧米食中心の食事への変化により、1:10へ変化しているといわれています。つまり、必須脂肪酸でもほとんどの植物油や加工食品にも含まれるオメガ6脂肪酸であるリノール酸が欠乏することはまずありません。そのため、オメガ6脂肪酸を控え、オメガ3脂肪酸を積極的に摂取することが重要です。
3.α-リノレン酸を多く含むオススメ食材
必須脂肪酸かつオメガ3脂肪酸である、α-リノレン酸を多く含む食材をご紹介します。
・えごま油:えごまとは一年草のシソ科植物で、「ごま」とは全く異なるもの。オメガ3脂肪酸が約60%含まれています。 ・亜麻仁油:亜麻仁(あまに)は、亜麻科植物の種子(仁)のこと。オメガ3脂肪酸が約60%含まれています。
<摂取時のポイント>
どちらも熱に弱く、酸化しやすい油です。ドレッシングに混ぜるなど加熱せずに食べるのがオススメです。
4.必須脂肪酸の過不足による弊害
(1)欠乏の場合
必須脂肪酸が欠乏すると、成長異常や生殖機能の障害、 皮膚の水分・バリア機能損失、皮膚炎などの障害がみられると言われています。また、必須脂肪酸が不足すると、血液中のコレステロールが増加し、高脂血症、高コレステロール血症、動脈硬化症を引き起こす可能性が高いです。
(2)過剰摂取の場合
必須脂肪酸のリノール酸を摂り過ぎると、血管壁などに蓄積したコレステロールを回収する働きがある善玉コレステロールまでも減らしてしまいます。また、リノール酸から合成されるアラキドン酸には、アレルギー症状を強める作用があることから、過剰な摂取に注意する必要があります。
必須脂肪酸も1gあたり9kcalとカロリーが高いので、肥満や脂質異常症などの原因となるため、摂り過ぎには注意が必要です。
次回は、「脂肪酸とは③〜コレステロール〜」についてです。お楽しみに!
<参考文献>
・『脂質による健康影響』(農林水産省)
・『カラダにいい油って?正しい油の選び方』(eco健康)
・『オメガ3のはたらき』(マルタのえごま)
・『脂肪酸を知れば油がわかる#世界のオイルを巡るレシピと油活のススメ』(hitotema)
※なお、このブログは、タイトルに関する基本情報を出来るだけ端的に分かりやすく伝えるために、文献から多く引用している箇所もありますが、著作権を侵害する意図はありません。より詳しく知りたい方は上記の文献をぜひご覧ください。
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